なぜ弁護士が入ると示談金額が上がるのですか?
- 2016.11.30
- 事件対応等に関するご質問
実は交通事故の損害賠償には、
「自賠責基準」
「任意保険基準」
「弁護士(裁判)基準」
という3種類の基準があります。
「自賠責基準」は、強制加入の自賠責保険における基準。
最低限の保障を目的としたもので、最も低額な基準です。
「弁護士基準」は、交通事故の裁判例に基づく基準。
裁判となったときに裁判所が用いる基準で、最も高額な基準です。
「任意保険基準」は、保険会社が自ら定めた内部基準。
金額としては、「自賠責基準」よりは高く、「弁護士基準」よりは低く設定されています。
本来、交通事故の示談は全て「弁護士基準」でなされるべきです。
しかし、保険会社は保険加入者(加害者)の側に立つ一企業ですから、自社の損害をなるべく抑えるように行動します。
つまり、保険会社はまず「任意保険基準」での示談を提案してきて、何も知らないと安い「任意保険基準」で示談に応じてしまうことになるというわけです。
では、このことを知っている被害者が
「弁護士基準で支払ってくれ。」
と言ったらどうなるか。
結論から言うと、保険会社がこれに応じることはまずありません。
保険会社がそれに応じる理由と基準の根拠がないからです。
しかし、弁護士が代理人として出てくると状況が変わります。
交通事故を得意とする弁護士は、各ケース毎に、どういう理屈を立てれば過去の裁判例等を適用して「弁護士基準」での損害賠償請求ができるのか、という法的な理論構成を熟知しています。
保険会社が「任意保険基準」を押してきても、どう対応すればこれを覆せるかということを理解しているのです。
保険会社もそれがわかっているので、弁護士が入れば「任意保険基準」をゴリ押ししてこないのです。
また、弁護士が入るということは、いつでも訴訟に移行する準備ができていることを意味します。
保険会社にとって訴訟は望ましくないことなので、保険会社は「弁護士基準」での示談に応じやすくなるのです。
このように、弁護士が入るか否かで基準が変わり、示談金額が想像以上に増額することもあります。
弁護士費用を考えても、ほとんどのケースで弁護士費用以上の増額が見込まれるため、交通事故の示談交渉に弁護士を入れるメリットは大きいと言えるでしょう。