2016.11.30示談金額について
交通事故に遭うと、相手方本人や相手方の保険会社との示談交渉が始まり、最終的に示談がまとまれば、一方が他方に、またはお互いに金銭を支払っての解決となります。
では、示談金の額はどのように計算して決めるのでしょうか。
何回かに分けて見ていきたいと思います。
まず、「示談金」というものについて、交通事故に限って言えば、
「示談が成立したときに、交通事故で生じた損害を補填するために支払われる金銭」
となります。
ちなみに、「示談」というのは、民事上の問題を当事者間で解決するための合意のことを指し、法律用語としては「和解」または「和解契約」が近いものとなります。
厳密に言えば、「示談」と「和解」は違うのですが、保険会社や弁護士が間に入って交渉する場合は最終的に「和解」の形を取るため、ここではその説明は割愛します。
この記事では俗に使われることの多い「示談金」という用語で説明しますが、きちんとした専門家が作成する文書では「解決金」「和解金」といった表現になっていることが多いはずす。
もっとも、重箱の隅をつつくような細かい議論をしたいというのでない限り、どれも同じものを指すと考えておいてもさほど問題はありません。
「示談金」はこのようなものですから、その内訳は、交通事故で生じた各損害項目となります。
交通事故による損害は、
「積極損害(交通事故で実際に生じた人的損害)」
「消極損害(交通事故がなければ得られたはずの利益)」
「精神的損害(交通事故で被った精神的苦痛)」
「物的損害(交通事故で損なわれた物の損害)」
に大別され、交通事故の損害項目として通常想定し得るのは次のようなものです。
【積極損害】
・治療費(病院や整骨院に払った費用や薬代)
・付添費用(入通院の付添が必要な場合の費用)
・将来介護費(後遺障害等で将来の介護が必要な場合の費用)
・入院雑費(入院中に必要となる紙おむつ等の費用)
・交通費宿泊費(入通院時に必要となる交通費や家族の宿泊費)
・装具等購入費(義足や義手の購入費用)
・家屋等改造費(家や自動車の改造が必要な場合の費用)
・葬儀関係費用(被害者が死亡した場合の葬儀費用)
・弁護士費用(損害賠償請求訴訟を弁護士に依頼した場合の費用)
【消極損害】
・休業損害(入通院で仕事を休んだことによる減収分)
・後遺症による逸失利益(後遺症で労働能力が減衰した場合の減収分)
・死亡による逸失利益(被害者が死亡したことで失われた収入)
【精神的損害】
・死亡慰謝料(被害者が死亡したことによる慰謝料)
・入通院慰謝料(傷害の程度に応じた慰謝料)
・後遺障害慰謝料(認定された後遺障害等級に応じた慰謝料)
【物的損害】
・修理費(交通事故で破損した自動車等の修理代)
・買替差額(買替が必要な場合の事故時時価相当額と売却代金の差額)
・登録手続関係費(買替で必要となった諸費用と自動車取得税)
・評価損(外観や機能の欠陥または事故歴による商品価値の下落分)
・代車使用料(代車を利用した場合の費用)
・雑費(レッカー代、保管料、車両処分費等)
・積荷等の損害(破損した積荷、建物等の損害)
交通事故による損害と一口に言っても、これだけの種類があるわけです。
次回からは、各損害の詳しい内容と計算方法について解説していきます。
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