弁護士費用特約のメリット等 | 交通事故被害者対応専門|士道法律事務所(大阪弁護士会)

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2016.11.30示談金額について

弁護士費用特約のメリット等

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 弁護士費用特約(弁特)について、「よくあるご質問」の「弁護士費用特約とは何でしょうか。」でも説明していますが、これについてよくお問い合わせをいただくので、もう少し詳しく説明します。

 自動車の任意保険に加入している方は、保険証書を確認してみてください。
「特約」の項目に「弁護士費用~」等の文字があれば、弁特が付いていると考えてよいでしょう。
保険料は年間1400円程度で、2014年現在の加入率は約70%とのデータが出ています。

 保険料を安く抑えるために敢えて不加入としていなければ、付帯している可能性の方が高いと言える数字です。

 ところが、弁特の利用率は極めて低く、2012年の時点でわずか0.05%しか利用されていません。
 これは、弁特の存在や有用性が十分周知されていないことによるものと思われます。

 おさらいとなりますが、弁特とは「交通事故で保険会社が300万円まで費用を立て替えてくれる制度」です。
 これが最大の効力を発揮するのは、「加入者またはその家族が過失ゼロの交通事故に巻き込まれた場合」です。
 しかし、「自分に過失がない場合(100%被害者の場合)」にしか使えないというわけではなく、事故当事者双方に過失がある場合にもこの特約は利用できます
 ただし、契約者に過失がある場合、相手方も保険に加入している場合には保険会社が「加害分の」示談交渉をすることができますので、弁特を使うまでもないと判断されているケースが多々あるものと思われます。
 双方に過失があるケースで、弁特を利用した相談が保険会社を通じて持ち込まれることもありますが、当事者の意見が対立してどうしようもなくなってしまって、やむなく弁護士に相談に来るというパターンが多いです。
 保険会社としては、弁特を利用されるとその費用を負担しないといけないので、弁特への加入を呼び掛けて保険料を集めることについては積極的でも、その利用については消極的というところもあるのかもしれません。

 そして、契約者が弁特を利用した場合のデメリットですが、基本的にデメリットはありません
 弁特の利用だけで保険の等級が変動することはないので、弁特を使っても翌年の保険料が上がることはないのです。
 このあたりの誤解も、利用率の低迷に繋がっているのでしょう。

 弁特の適用範囲、つまり弁特でカバーできる被害者の範囲はかなり広く取られています。
 保険会社にもよりますが、「契約者本人」「契約者の妻や夫(内縁含む)」「同居の親族(親、子、兄弟、祖父母、孫、いとこ、義理の親等)」「別居している未婚の子(一人暮らししている大学生の子等)」「契約自動車の搭乗者(保険加入者が運転する車に同乗していた友人等)」など。
 大雑把に言うと、同居している家族が自動車を持っていて任意保険に加入していれば弁特を利用できる可能性がだいぶ高く、それ以外でもカバーされるケースは結構あるということです。

 一方、弁特の利用は弁護士側にとってもメリットがあります。
 一番は、「弁護士費用不払いのリスクを回避できる」というものでしょう。
 稀に、依頼者が着手金や実費を払わなかったり、事件解決直前で弁護士を解任してしまったりということが起こるのですが、弁特を利用すれば保険会社という確実な支払元が出てくるので、その点の不安は軽減されることとなります。
 受任時や解決時に報告書や諸々の書類提出を求められ、その作成が煩雑という悩みはありますが…

 先に述べたとおり、弁特は適用範囲が広く、これを利用する契約者には基本的にはメリットしかないのですが、保険会社が自社による交渉で済ませようとしたり、保険会社の担当者が適用条件をきちんと理解しておらず、弁特を使えるケースでも「使えません」と契約者に誤った説明をしたりしていることもあります。
 交通事故の示談交渉を弁護士に相談・依頼することは、「交通事故を弁護士に任せるメリットは何でしょうか。」に記載しているような利点もあります。
 交通事故に遭ったら、「弁特が使えるのではないか」という意識を持って、まずそこから気軽に相談していただければ、弁特の利用率も上がるのではないでしょうか。
 せっかく保険料を払って特約を付けているのですから、最大限利用していただきたいと思います。

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