交通事故の後遺症(3)~後遺症による逸失利益 その1~ | 交通事故被害者対応専門|士道法律事務所(大阪弁護士会)

交通事故コラム

2017.08.07示談金額について

交通事故の後遺症(3)~後遺症による逸失利益 その1~

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交通事故で一定の後遺症が残った場合、「逸失利益」というものが問題となります。

一言で言えば、「交通事故の後遺症がなければ普通に働いて得られたはずの収入」のことです。

交通事故でこれが失われたと考えることになるので、これも損害賠償の対象となります。

 

逸失利益の計算式は次のようなものです。

【有職者または就労可能者の場合】
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

【18歳(症状固定時)未満の未就労者の場合】
基礎収入額×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数)

 

「基礎収入額」というのは、簡単に言えば事故前の収入(年収)のことです。

交通事故の被害者が会社員のような給与所得者であればさほど問題はありません。

ですが、自営業者だったり、会社役員だったり、失業中だったりするとこの点が問題となってきます。

これについては次回以降の記事でもう少し掘り下げてみます。

 

「労働能力喪失率」というのは、「交通事故の後遺症(2)~後遺障害各等級の具体的な内容~」で出てきた、後遺障害の各等級に応じた労働能力が失われた割合のことです。

具体的事情によって若干増減することもありますが、基本は等級に応じて決まります。

 

「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」というのは、減収期間を計算するための数値のことです。

 

具体例として、
・年収額面総支給額500万円、手取り400万円の男性会社員
・36歳のときに交通事故に遭い、37歳のときに症状固定となった
・後遺障害第11級(労働能力喪失率20%)の認定を受けた
というケースを挙げて逸失利益の計算方法を見てみましょう。

まず、「基礎収入額」は手当等を含んだ額面総支給額なので、500万円となります。

次に、このケースでの「労働能力喪失率」20%です。

そして、「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」
逸失利益を考えるときには、「67歳まで就労できたはず」とします。
そうすると、37歳で症状固定となった場合、労働能力喪失期間は30年となります。
だからといってこの30年をそのままかけることはしません。
なぜなら、被害者は本来30年かけて得るはずだった収入を、今の時点でまとめて得ることになるからです。
そのために、中間利息の控除という処理を行うことになります。
この中間利息の控除の計算がとても複雑でややこしいため、簡略化した数値を用います。
それがライプニッツ係数というもので、ライプニッツ係数表というものにまとめられています。
就労可能年数30年に対応するライプニッツ係数は15.372なので、これを使用することになります。

500万円×20%×15.372=1537万2000円

これがこのケースでの逸失利益となります。

 

逸失利益の算定にさほど問題がないケースだとこうやって簡単に金額が出てきますが、個別具体的な事情を考慮しなければならないケースは少なくありません。

次回以降の記事では、そういったケースの処理方法について見ていきます。

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