2016.11.30示談金額について
交通事故の法律相談をしていると、
「この交通事故の慰謝料の相場はいくらですか?」
と聞かれることがよくあります。
交通事故に遭った場合に賠償請求できる損害の1つに「慰謝料」というものがあり、その算定基準には「3つの基準」がある、ということは「交通事故の損害にはどのような種類がありますか?」「なぜ弁護士が入ると示談金額が上がるのですか?」等でご説明したとおりです。
法律相談で「慰謝料の相場が知りたい」と聞かれたときには、次のように説明しています。
まず、「3つの基準」、すなわち「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判所(弁護士)基準」について簡単に説明した上で、弁護士に示談交渉を依頼することで最上位の「裁判所(弁護士)基準」がベースになることを伝えます。
そして、「損害賠償額算定基準(通称『赤い本』)」の「入通院慰謝料」のページを開き、その相談者の治療状況に合わせた項目を確認して、慰謝料の基準額を伝えます。
この「入通院慰謝料」ですが、縦が「通院月数」、横が「入院月数」になっており、入院した月数と通院した月数の交差するマスに記載されている金額が慰謝料の基準額となっています。
「入通院慰謝料」の表には「別表1(骨折等で他覚症状がある場合)」「別表2(むち打ち等で他覚症状がない場合)」の2種類があり、同じ入通院月数でも1.5倍程度の差があります。
症状の重さが不明確な「別表2」に比べて、症状の重さが比較的明確な「別表1」の方が1.5倍ほど慰謝料が高いということです。
私が交通事故事件を取り扱ってきた実感から、一番該当するのが多いケースが、
「入院0か月、通院6か月、自覚症状のみで他覚症状のない打撲・捻挫のケース」
というものなのですが、これだと「89万円」となっています。
ちなみに、『赤い本』は全国版のような扱いを受けているのですが、実は大阪では大阪独自の基準があり、「交通事故損害賠償額算定のしおり(通称:緑の本)」に記載されています。
こちらは、「通常のケース」と「重症のケース」という2つの表があり、「通常のケース」が『赤い本』の別表1に相当する基準です。
そして「むち打ち症で他覚所見のない軽度の神経症状の場合は、通常の慰謝料の3分の2程度とする」とされています。
これに従うと、前記のよくあるケースの入通院慰謝料は「80万円」となります。
大半のケースで問題となる「慰謝料」とは「入通院慰謝料」のことを指しますが、後遺障害等級認定がなされれば「後遺障害慰謝料」、死亡事故なら「死亡慰謝料」、特殊事情があれば「近親者の慰謝料」といったものが問題となることもあります。
また、基準となる慰謝料額が算定できても、保険会社が、
「訴訟ではなく示談でさせたいので、訴訟費用や手間の軽減を考慮して慰謝料額の基準の8割程度としてくれないか」
と言ってくることもあります。
このように、「慰謝料の相場」と言っても、一概に、簡単に、確定的に決まるわけではなく、交通事故事件の内容に応じて適正な慰謝料額というのは大きく変わってきます。
交通事故を専門的に取り扱う弁護士であれば、法律相談を行って具体的な事情を聴き取ることで、適正な慰謝料額を算定して回答することができますので、きちんとした見込み額が知りたければ、弁護士の無料法律相談を利用することをお勧めします。
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