交通事故コラム

2016.11.30示談金額について

弁護士は依頼者の担当医師と面談すべきか

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交通事故に遭った相談者・依頼者の方から時折、

「医師の対応が悪いので弁護士から話をしてください。」
「診療時に弁護士も同席してくれるんですよね?」

といったことを言われることがあります。
弁護士は交通事故患者の担当医師と積極的に面談すべきなのでしょうか。

例えば、私は、交通事故の示談交渉を処理する過程で医師と面談することがあります。
面談が必要と考えたケースで、依頼者が入院している九州の病院まで出かけて担当医師をお話をさせてもらったこともあります。

もっとも、私が医師と面談するのは、それが事件解決に必要・適切と判断した場合のみで、受任事件全体に対する割合で言えばさほど多くありません。
その理由は、弁護士が医療の場に顔を出すだけでトラブルが生じることがあるからです。

弁護士の中には癖のある人物というのも一定数いますが、癖の強さや割合において医師のそれは弁護士以上です。
(私の親族には医療関係従事者が多く、日常的に医師に接していたことに基づく実感です。)
医師は、医師以外の人間が医療のことに口出ししてくることを極端に嫌う傾向があります。
これは職人気質というか、ある種の専門家には共通したことなのかもしれませんが。

いくつか実際にあったケースを紹介しましょう。

【ケース①】
後遺障害が問題となった交通事故患者の示談交渉事件で、依頼者から、
「担当医師が、『自分は交通事故の扱いが少ないので、弁護士の提言があれば聞く。』と言っている。」
と聞かされていました。

その医師が作成した後遺障害診断書を確認したところ、関節の可動域の測定方法が後遺障害等級認定で用いられる測定方法と異なるもので、既定の測定方法では物理的にあり得ない数値が記載してあり、依頼者から聞く限りでは測定自体も目測による適当なもののようでした。
そこで、私は正しい測定方法を図解したHPを印刷して依頼者に渡し、
「決して非礼にならないように気をつけて、『交通事故ではこの測定方法が使われるので、こちらの方法で再測定していただけないでしょうか。』と丁寧に伝えてください。絶対に、『測定方法が間違っている。』などと言わないように。」
と伝えて、依頼者から医師に話をしてもらうことにしました。

後日、依頼者から、
「指示どおりに伝えたのに、医師がいきなり『元のやり方で正しいんだ、その弁護士を連れて来い!』と怒りだした。」
との連絡が入りました。
最終的に、その医師は自分でも測定方法について調べたようで、正しい測定方法で、物理的にあり得る範囲の数値が記載された後遺障害診断書を作成してくれました。
とはいえ、依頼者への指示だけでこれですから、弁護士が同行していたらどんなトラブルになったのか、想像もつきません。

【ケース②】
医師が後遺障害診断書の作成を拒否しているという事案で、依頼者から、
「担当医師が『後遺障害診断書は書かない。弁護士と話がしたい。』と言っているので同行してほしい。」
と言われました。

医師法19条2項医師には診断書作成義務が課されています
そして、後遺障害診断書は「後遺障害があることを医師が認めた」ということを意味する書面ではありません。
後遺障害の有無を判断するのはあくまで自賠責の調査事務所であって、医師は診断の結果を後遺障害診断書に淡々と記載するだけでよいのですが、この医師がこの点を理解していないようであったため、これを説明するべく依頼者と病院に赴きました。

ところが、この医師とはそもそも会話が成立しませんでした
医師が弁護士との面談を希望しているということで赴いたのですが、医師は私の説明を一切聞かず、依頼者である患者の悪口や、後遺障害診断書についての自身の誤った考えを一方的に述べるだけだったのです。
丁寧に説明しようとしても会話が成立しないため、諦めて私が退室しようとしたところ、その医師は、
「医者がわざわざ10分も時間を割いてやったのだから面談料1万円を置いていけ。」
と言ってきました。
さすがに驚き、そのような説明は事前に受けていないし、今日は現金を持っていない、仮に払うとしても保険会社の承諾を得る必要がある、と伝えたところ、その医師は激高し、
「金がないならズボンでも時計でも置いていけ!弁護士は嘘つきばかりだから後日の支払いなど信用できるか!」
と怒鳴りつけてきました。
あまりの無礼な態度にカチンときましたが、同じレベルには落ちまいと一礼して退室。
結局、この医師は後遺障害診断書を作成せず、依頼者は後遺障害の申請を断念せざるを得なくなりました。

以上が、交通事故事件で私が医師と関わり、問題を生じてしまった事例です。
無論、全ての医師がこうだというわけではなく、誠実で物腰の柔らかいお医者さんはいらっしゃいます。
そして、必要だと感じれば、私は医師と面談することに躊躇いはありません。
上述の九州の件は、高次脳機能障害という後遺障害等級認定の難しい病状の案件でしたが、担当医師としっかり話をした結果、別表一2級1号という高い等級認定を勝ち取ることができました。

ただ、上のケースのようなトラブルが発生し、それが依頼者にとって大きな不利益となることもあるため、私は医師の領分に足を踏み入れることには慎重になっている、ということです。

せっかく弁護士が付いているのだからと、有利な後遺障害等級認定を目指して病院に弁護士を同行させることを考える方もおられますが、それが適切なことであるかどうかは、担当の弁護士とよくよく相談して決めた方がよいでしょう。

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