交通事故コラム

2017.12.13示談金額について

交通事故の後遺症(6) ~後遺障害発生後に死亡した場合~

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交通事故の損害賠償額は基本的に、

重い後遺傷害>死亡>比較的軽度の後遺障害>後遺障害なし

となります。
重い後遺障害が残った場合は、将来の治療費や介護費が発生し、労働能力喪失割合も高くなるためです。

では、被害者が後遺障害を負った後に死亡した場合はどうなるのでしょうか。
被害者の逸失利益(後遺障害によって失われた将来の収入等)、介護費との関係で問題となります。

 

(1)逸失利益はどうなるのか

後遺障害が残った場合、就労可能年齢(原則67歳)までの逸失利益を損害に計上します。
例えば被害者が20歳の時点で症状固定となったとすると、47年分の逸失利益が発生することになります。

ところが、この被害者が就労可能年齢に達する前、例えば30歳のときにこの交通事故と無関係な理由(災害、病気、別の事故等)で死亡したとします。
すると、「残り37年分の逸失利益は必要なのか」、つまり「逸失利益は死亡した時点までの10年分でよいのではないか」という問題が生じます。

この点について最高裁は次のように判示しています。

「交通事故の被害者が事故に起因する傷害のために身体的機能の一部を喪失し、労働能力の一部を喪失した場合において、いわゆる逸失利益の算定に当たっては、その後に被害者が死亡したとしても…右死亡の事実は就労可能期間の認定上考慮すべきものではない」(最判平成8年4月25日交民28・2・302)

要するに、「後遺障害を負った事故と無関係な原因で後に死亡したとしても、就労可能年齢までの逸失利益は損害として認められる」ということです。

 

(2)将来の介護費はどうなるのか

後遺症が残って将来にわたり介護が必要となる場合、将来介護費も損害に計上されます。
先程のケースだとすると、20歳時点の平均余命は男性が57年、女性が63年です。
将来介護費を計算する際には中間利息を控除しなければならないので、ライプニッツ係数というものを持ちることになります。
この余命だと、男性は18.761(年)、女性は19.075(年)です。

そして同じようにこの被害者が30歳のときに死亡した場合。
「残りの余命分の将来介護費は必要なのか」、つまり「死亡した後の介護費は発生しないのだから将来介護費は死亡した時点まででよいのではないか」という問題が生じることになります。

こちらについては、最高裁は「将来介護費は死亡時までに限られる」としています。
その理由については次のように述べられています。

「介護費用の賠償は、被害者において現実に支出すべき費用を補てんするものであり、判決において将来の介護費用の支払を命ずるのは、引き続き被害者の介護を必要とする蓋然性が認められるからにほかならない。ところが、被害者が死亡すれば、その時点以降の介護は不要となるのであるから、もはや介護費用の賠償を命ずべき理由はなく、その費用をなお加害者に負担させることは、被害者ないしその遺族に根拠のない利得を与える結果となり、かえって衡平の理念に反することになる」(最判平成11年12月20日)

つまり、「後遺障害を負った被害者が後に死亡した場合、死亡時点以降の将来介護費は損害として認められない」ということです。

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